大相撲の番付最上位に位置する「横綱」ですが、意味を理解している方は意外に少ないようですね。
横綱すごい!横綱強い!横綱かっこいい!
とは思ってはいるものの、横綱とは何?と聞かれると言葉に詰まってしまうのではないでしょうか。
そこで、横綱の意味や大関から横綱に昇進できる条件などを紹介して横綱を深掘りしていきます。
横綱の意味は綱と土俵入り
大相撲の歴史は大変長いものですが、昔から横綱の地位が存在していたわけではありません。番付に横綱の地位が表記されるようになったのは明治時代に入ってからのこと。
それまでは、大関が最上位として広く知れ渡っていたのですが、いつしか横綱は大関より格上の最上位として認識されることになりました。
横綱と言われるようになった由来は、江戸時代に『黒と白の綱』をマワシの上に飾りとして使っていたのだとか。
そこから、もっと神々しいものにしたいという事もあって、白い綱だけでより合わせて作りその綱を巻いて土俵入りをたった2名だけに免許制度で許していました。
横綱は地位ではなく、称号でした。第4代横綱・谷風と第5代横綱・小野川が1789年に横綱土俵入りを行ったが起源として分かっています。
誰しもが土俵入りができたわけではなく、人気力士に対して横綱免許を与える形で横綱土俵入りを行っていたんだとか。
ですから、この当時は番付表では大関が最上位であって横綱という正式な地位が出来たのは明治時代に入ってからなのです。
現代でこそ成績次第で横綱になれるわけですが、ただ単に強いだけではなく品格が問われるのはこういったことに由来しています。
ただ単に強いだけなら、昔でいうところの大関止まりということになるのではないでしょうか。
大関から横綱への昇進条件とは?横綱へ昇進した過去力士の成績紹介!
日本相撲協会によって大関から横綱への昇進が許可されるわけですが、昇進できる条件が一応存在しています。
その条件とは「大関として2場所連続優勝に準ずる成績」とされています。もちろん、横綱は力量だけではなく品格も重要視されていますので成績だけでは無い面が少なからず存在します。
横綱推挙状には、「品格力量抜群につき横綱に推挙す」と書かれています。横綱には力量よりも、品格を求めているのがこの文章から伺いしれます。
はっきり言って「準ずる成績」というのは大変曖昧となる部分で、どこまでは準ずる成績なのか?までは決まっていません。ですから、単純に勝敗数だけを見て決められるものではないということになります。
まずは、過去の横綱に昇進した力士の成績を見ていきましょう!
優勝…赤色
同点優勝…水色
準優勝…黄緑色
四股名 | 3場所前 | 2場所前 | 先場所 | 3場所合計 | 勝率 | 優勝回数 |
柏戸 | 10勝5敗 | 11勝4敗 | 12勝3敗 | 33勝12敗 | .733 | 1回 |
大鵬 | 11勝4敗 | 13勝2敗 | 12勝3敗 | 36勝9敗 | .800 | 3回 |
栃ノ海 | 11勝4敗 | 14勝1敗 | 13勝2敗 | 38勝7敗 | .844 | 2回 |
佐田の山 | 13勝2敗 | 13勝2敗 | 13勝2敗 | 39勝6敗 | .867 | 3回 |
玉の海 | 13勝2敗 | 10勝5敗 | 13勝2敗 | 36勝9敗 | .800 | 2回 |
北の富士 | 12勝3敗 | 13勝2敗 | 13勝2敗 | 38勝7敗 | .844 | 3回 |
琴櫻 | 9勝6敗 | 14勝1敗 | 14勝1敗 | 37勝8敗 | .822 | 4回 |
輪島 | 11勝4敗 | 13勝2敗 | 15戦全勝 | 39勝6敗 | .867 | 2回 |
北の湖 | 10勝5敗 | 13勝2敗◎ | 13勝2敗 | 36勝9敗 | .800 | 2回 |
若乃花(2代) | 13勝2敗 | 13勝2敗 | 14勝1敗 | 40勝5敗 | .889 | 1回 |
三重ノ海 | 10勝5敗 | 13勝2敗 | 14勝1敗 | 37勝8敗 | .822 | 1回 |
千代の富士 | 11勝4敗 | 13勝2敗 | 14勝1敗 | 38勝7敗 | .844 | 2回 |
隆の里 | 12勝3敗 | 13勝2敗 | 14勝1敗 | 39勝6敗 | .867 | 2回 |
双羽黒 | 10勝5敗 | 12勝3敗 | 14勝1敗 | 36勝9敗 | .800 | なし |
北勝海 | 11勝4敗 | 12勝3敗 | 13勝2敗 | 36勝9敗 | .800 | 2回 |
大乃国 | 15戦全勝 | 12勝3敗 | 13勝2敗 | 40勝5敗 | .889 | 1回 |
旭富士 | 8勝7敗 | 14勝1敗◎ | 14勝1敗◎ | 36勝9敗 | .800 | 3回 |
曙 | 9勝6敗 | 14勝1敗 | 13勝2敗 | 36勝9敗 | .800 | 3回 |
貴乃花 | 11勝4敗 | 15戦全勝 | 15戦全勝 | 41勝4敗 | .911 | 7回 |
若乃花 | 10勝5敗 | 14勝1敗 | 12勝3敗 | 36勝9敗 | .800 | 5回 |
武蔵丸 | 8勝7敗 | 13勝2敗 | 13勝2敗 | 34勝11敗 | .756 | 5回 |
朝青龍 | 10勝5敗 | 14勝1敗 | 14勝1敗 | 38勝7敗 | .844 | 2回 |
白鵬 | 10勝5敗 | 13勝2敗 | 15戦全勝 | 38勝7敗 | .844 | 3回 |
日馬富士 | 8勝7敗 | 15戦全勝 | 15戦全勝 | 38勝7敗 | .844 | 4回 |
鶴竜 | 9勝6敗 | 14勝1敗 | 14勝1敗 | 37勝8敗 | .822 | 1回 |
稀勢の里 | 10勝5敗 | 12勝3敗 | 14勝1敗 | 36勝9敗 | .800 | 1回 |
2場所連続優勝で横綱昇進を果たして力士
「大鵬」「北の富士」「琴櫻」「旭富士」「曙」「貴乃花」「若乃花」「武蔵丸」「朝青龍」「白鵬」「馬富士」の12名。
「北の湖」「鶴竜」の2名。
「佐田の山」「輪島」「千代の富士」「隆の里」「北勝海」の5名。
「栃ノ海」「稀勢の里」の2名。
「柏戸」「玉の海」の2名。
「大乃国」のみ。
3場所前の成績が8勝7敗の「旭富士」「武蔵丸」「日馬富士」が2場所連続優勝で横綱昇進を決めていることから、3場所前の成績は加味されていないと言えるように見えます。
ですが、大乃国が横綱昇進した際には2場所連続で優勝を逃し5つ負けているにも関わらず昇進しているのには、大いに3場所前の15戦全勝優勝が加味されているのではと思われます。
また、稀勢の里が横綱昇進した際には2場所前に優勝した鶴竜に2つの勝ち星さを付けられて、準優勝させ出来なかったわけですが結果的に14勝1敗で初優勝したことや年間最多勝という加味されてるべきでない点によって横綱昇進を手にしています。
このように実は、「大関として2場所連続優勝に準ずる成績」というのはかなり曖昧で、その時の横綱の数や人気、もちろん品格によっては成績が良くても昇進出来ない場合もあります。
あくまでも、一つに大きな基準として考えるだけであって様々な要素が加味されて横綱昇進に繋がることが分かっていただけたのではないでしょうか。